那須民芸・五十嵐豊さん①(みちのく民芸館)


 ないものばかりに注目していてもつまらないので、今回はあるものについて書こうと思います。一度東京から地元の田舎に移動した目的のひとつには、「地元のことを改めて知る」というものがありました。長年離れていた間に変化したものを知る。昔から今もあるのに実は知らなかったことを知る。意外と観光客は行くけど、地元住民は行かない場所とかお店とか沢山あったりするなと思ったので。温泉地なのにほとんど地元の温泉に入ったことがない、みたいな事とか。

 

 そこで今回調べてみたことは、地元の民芸品について。東京にいる頃に某カルチャー雑誌で、那須の九尾の狐の張子の民芸品が復活!という記事を読んだことがあった。へぇ、じゃあ地元にこれを作っている作家さんがいるのか〜!と思ってたところ、別の土地に住んでいる張子作家さんに委託して作って貰っているのだった。その時、今の時代はそういうものなのか…と少し残念に思った記憶がありました。その土地で暮らしながら制作されたものはないのかな〜と思っていたところ、那須には「那須民芸」というものがあり、五十嵐豊さんという作家がいらしゃったそう。五十嵐さんはもう亡くなられているけれど、作品が「みちのく郷土民芸館」という施設に展示してあるらしい。これはぜひ現物を見たい!というかそもそもそんな民芸施設があったなんて知らなかった!那須は観光地なので、ずっと観光施設やお店には自粛要請が出ていて、休館ばかりであった。しかし、その日は自粛要請が解除される日。これはもう早速行くしかない。こういう一般的には娯楽と言われるような場所の再開と、不要不急の外出を控えるっていう警告は矛盾してる。でも私はここに「要」がある。などと考えながら向かいました。なぜ今まで存在を知らなかったんだろう…というほどよく通る道路沿いに、みちのく民芸館はありました。駐車場に車を止めたら、民芸館のおばちゃんがどーぞー!今日からやっと再開したんですよー。と扉を開けて出迎えてくれました。あとから知ったのだけど、みちのく民芸館には郷土玩具館、陶磁器館、染物館があったらしい。五十嵐豊さん目指して行ったため、郷土玩具館しか目に入っていませんでした。また他の館も見るのに再訪しないとですね。ちなみに入館無料です。

 郷土玩具館の中に入ってびっくり。全国の凄い数の郷土玩具が展示されている!江戸時代のものまである!!私は郷土玩具に詳しくないのでよく分からないけど、これってかなり貴重なものが置いてあったりもするのでは?(民藝ファンの方には有名な場所だったりするのでしょうか?)しかも、竹下夢二の原画や棟方志功の版画まで展示してあるではないか。話を聞くと、ここは館長さんが長年収集した民芸品コレクションを展示している施設とのこと。凄いなぁ。愛を感じました。そしてお目当の五十嵐豊さんの作品を見る。ああ、見に来てよかった。木工品だけでなく焼き物や木彫り、染物など様々な作品がある。どれも素朴でずっと見ていられる。子供のフォルムが愛らしくて、馬や牛はとても身近な存在であったんだろうなと感じさせられる。古さが全く感じられない。かっこいいな。五十嵐さん作の民芸品が欲しいけど、今はもう無いそうです。現在那須民芸として売られているのは、五十嵐さんの作風を引き継いで、お弟子さん(親族関係の方らしい)が作られているものだそう。なので全く同じデザインではなく、少し違ったデザインにしているとのこと。もちろんこれらも素敵なのですよ。


上の画像:こちらは現在販売されている那須の民芸品






下の画像:五十嵐豊さんの作品




 みちのく郷土民芸館は展示がメインの建物のため、販売している民芸品の品物は少ないから土産専門の本館へ行くいいよと、おばちゃんが教えてくれました。こんなに充実しているのにさらに本館というものがあるのか。本館は喫茶スペースもあり、いくつか五十嵐さんの作品も飾ってあるとのことなので、私はみちのく民芸館から「みちのく民芸店」に向かうことにしました。ちなみに、五十嵐さんの作った那須民芸に茄子を持った子供のというのがあり、やはり当時から那須と茄子の言葉を掛けていたんだなぁと知りました。(那須は特に際立った茄子産地ではない)その②に続く。


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